いつ起こるか分からない地震。速報なども百発百中でなく、いつ来るか予測がつかないのが怖いところです。
ところで、みなさんはペットを飼っているでしょうか。良く飼われているペットの中でも上位に入る犬が、地震を予知して普段と違う行動をとることがあります。
ここでは、そんな地震の前兆となる犬の行動について紹介していきます。
動物に地震の予知能力はあるの?
犬が地震を察知する、とだけ聞くとオカルトチックにも思えます。しかし、犬には人間にない能力がいくつも備わっています。
動物が地震予知能力といわれる理由
ナマズが地震を引き起こしている、というおとぎばなしを聞いたことはあるでしょうか。もちろんこれは嘘ですが、実際地震の直前にナマズが騒ぐという伝承が残っています。
他にもカラスがおかしな声で鳴く、ニワトリが夜中に鳴くなど地震の前兆として色々な話が残っています。他にも空の色や井戸の水位が変わったりなどの話も合わせ、「宏観異常現象」として記録されています。
犬が地震予知能力といわれる理由
では、どうして犬を初めとした動物は人より早く地震を察知することができるのでしょうか。まず、犬は人間よりも鋭い感覚器官を持っています。
例えば嗅覚は、なんと人の1億倍もあると言われています。また、犬の可聴域は人と比べるとなんと2倍近く。人間には聞き取れない超音波すらも感じ取れるのです。また、犬は電磁波を感じ取ることもできます。
とは言っても全ての犬ではなく、10匹に1匹くらいの割合だけです。また、野生に近い種であればあるほど電磁波に反応する割合も高くなるそうです。シベリアンハスキーや柴犬などの、比較的狼の血が濃い犬の方が感覚に優れているということです。
これらの人間には分からない異変をキャッチすることで、地震を事前に察知し異常行動を取ると言われています。
犬が地震前に起こすといわれている異常行動
地震の前兆を察知した犬は、その不安によってか普段とは違う行動を取ります。いつもは大人しい犬が吠えたりと、人間の目から見ても異常な行動を取るのです。
地震前に犬が起こす異常行動
地震の前兆となる犬の異常行動とは、具体的にどのようなものでしょうか。いくつかの例はありますが、興奮して吠えたり、動き回ったりパターンが挙げられます。
また同じ場所をぐるぐると歩き回ったり、家から逃げようとしたりなどとにかく落ち着きがなくなります。なだめようと近づいた飼い主に噛付いてしまうケースまで、とにかく普段なら有り得ない行動をするのです。
また、逆に体調を崩してしまうパターンもあります。餌をほとんど食べず寝転んだり、たまに歩いてもふらふらとして明らかに具合が悪そうになったり。もしもそんな様子が見られたら、もしかすると大きな地震の前兆かもしれません。
電磁波説
一番有力な説が、犬は地震が起こる前に発生する電磁波を感知しているという話です。麻布大学獣医学部で行われた実験で、磁場を発生させ、犬が電磁波に反応するかどうかを確かめるというものがあります。
結果、10分の1の犬が電磁波に反応し、オオカミに近い犬種、また、飼いならされてない、野生に近い犬ほど電磁波に反応しやすいことが判明しました。
また、地震が起こる前の地殻変動に、石英の岩石が破壊される時に電磁波が発生することが分かっています。
つまり、地震の前兆として発生する電磁波に反応した犬が動物的本能にかられ、身を守るために行動をする。その結果、犬が地震の前兆に異常行動をとるということです。
P波説
他にも、P波という大きい揺れが起こる前に発生する振動を人間より早く感知しているから、という学説も存在しています。
しかし、それでは犬が地震の起こる数日前から異常行動をとる理由としては「不十分だろう」と言われています。
地震の前兆以外に犬がキャッチするシグナル
犬が察知できるのは、何も地震だけではありません。現に警察犬や空港の検疫犬など、犬はその鋭い感覚から様々な現場で活躍しています。
病気を兆候をキャッチする
人が病気に罹った時、犬は本人の自覚よりも早くにそれを察知することができます。犬の鋭い嗅覚は、体調の変化によるほんの僅かな匂いの変化にまで気付けるためです。
フィンランドの空港などでは、特別な訓練を受けた犬が新型コロナウイルスの陽性患者を嗅ぎ分ける仕事に就いています。アメリカの団体では、犬がガンの腫瘍から発せられる化学物質に反応することまで分かっているそうです。
もしも飼っている犬が病気に気が付いた場合、大抵吠えて知らせてくれます。体調が悪い上に犬が吠えてくるときは、一度きちんと病院に行ってみるといいでしょう。病気とは違いますが、犬は女性の妊娠にも早くから気付くことができると言われています。
人の敵意を感知する
また、犬は人の持つ敵意も感知することができます。狼は元々お互いの匂いでコミュニケーションを取る生き物で、その性質が犬にも残っているからです。人が緊張した時汗の中に混じる物質を、犬はその鋭い嗅覚で嗅ぎ取ることができます。
他にも声の調子や視線で細かく相手の様子を悟ったり、逆に幸せの元である成分のドーパミンを嗅ぎ取ることもできます。これらの要素を敏感に感じ取り、犬は相手に敵意があるかないかを感知することができるのです。
敵意を感知した犬は、吠えることで威嚇をしながら仲間に敵の存在を知らせます。いわゆる番犬と呼ばれる犬が知らない人間に吠えかかるのも、不審な相手がいるのを飼い主に伝えるために吠えるのです。
犬以外の動物が地震の前兆をキャッチした時の異常行動
自然の些細な変化から地震の前兆を察知できる動物は、犬だけではありません。他にも色々な動物が、地震の前に異常な行動を取ることが知られています。
くじら・いるかの海洋生物
大地震の数日前、50頭を超える数のクジラが浜に打ち上げられていたことがあります。地震の前にクジラやイルカが打ち上げられているケースは多く、これもまた地震の前兆として知られています。
これは人間には感じ取れないような僅かな揺れによって潮目が乱れ、それによってクジラやイルカの泳ぐルートが少しズレてしまうためだと言われています。
普通の魚と違い、クジラには息継ぎが必要です。そのために海面近くに浮かび、そのまま普段とは違う潮の流れによって浜へと打ち上げられてしまいます。また、イルカやクジラには超音波を発したり感じたりする能力があります。
地震の前に海中で僅かな音の変化があり、それをストレスとして感じ取ったクジラがその場から逃げた結果打ち上げられてしまう場合もあります。
カラスなどの鳥
地震の前になるとカラスが集団で飛び回り、数日前になると逆にぱったりといなくなってしまうといいます。またニワトリが夜中から鳴いたり、小鳥が騒いだりすることなども地震の前兆として知られています。
でも、どうして鳥が地震を察知できるのでしょうか。鳥の最大の特徴といえば、やはり飛ぶ事です。飛ぶには鋭い平衡感覚や、風を読むための敏感さが必要です。
これらの前兆は、地震の前にほんの僅かに地面が震えたりするのを察知した鳥がその異変に怯えて騒ぐためだと考えられています。また、カラスは他と比べて群を抜いて頭が良い鳥です。地震の前にいなくなってしまうのは、地震で崩れそうな物の多い人里から離れるためではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。犬をはじめとした動物には、人間にはない鋭い感覚器官があります。地震の前兆としての動物の異常行動は、様々な研究の題材にもなっています。
実際、飼い犬や飼い猫が騒いだことで地震逃れたという話も多く散見されるのです。ペットの様子がおかしい時は、もしかしたら大きな災害が近いのかもしれません。日頃から気にしてみてはいかがでしょうか。