2011年3月11日、東日本大震災により1000年に一度の巨大な津波が起きた三陸地方。そんな三陸地方に伝わるのが「津波てんでんこ」という災害伝承です。
その教えを守って、生存率99.8%という素晴らしい事例を残した釜石の奇跡。今回はその「釜石の奇跡」についてこちらの記事を通してご理解を深めていただけたら幸いです。
釜石の奇跡とは
まずは、釜石の奇跡に関して5Wで紹介します。
When | 2011年3月11日(東日本大震災の時) |
Where | 釜石市鵜住居(うのすまい)町の小学校・中学校 |
Who | 岩手県釜石市内の小中学校の児童・生徒 |
What | 津波からの避難し、生存率99.8%という素晴らしい結果を残した |
Why | 避難訓練の際に「津波てんでんこ」の教えを教わっていたから |
では、ここから釜石の奇跡の詳細を紹介します。
釜石の奇跡を生んだ「津波てんでんこ」とは?
津波てんでんことは津波の多い三陸地方に昔から伝わる災害教訓です。「てんでんこ」とは、東北地方の方言で各自、めいめいという意味を持っています。
意味は、
海岸に近い場所で大きな揺れを感じたら、津波が来るから家族や友達など身近な人にも構わず各自てんでんばらばらに高台に避難して、自分の命を自分で守れ
です。
津波てんでんこには4つの意味があります。そちらに関しては下記の記事で紹介しているので、そちらも合わせてご覧ください。
釜石の奇跡について詳しく
こちらでは、津波てんでんこの教えに沿って自主的に避難した中学生の事例を紹介します。
この中学生は釜石市の鵜住居(うのすまい)地区にある中学校に通う生徒です。地震の揺れで、スピーカーが壊れてしまい校内放送が流れませんでした。
しかし、校内放送が流れなくても、危険を察知し自主的に校庭を駆け抜け、「津波が来るぞ!」と叫びながら避難所に指定されていた高台にあるグループホーム「ございしょの里」まで避難しました。
また、当中学校と共に避難訓練を行なっていた隣接する鵜住居小学校の小学生たちも、後に続きました。しかし、避難場所の裏手は山になっているため土砂崩れが起きそうでした。
それに気づいた男子生徒がさらに高台へ移ることを提案し、避難をしました。東日本大震災の津波が想像以上の規模だったので、間もなく、ございしょの里は波にさらわれてしまいました。
避難場所に指定されていた「ございしょの里」より高台に避難した生徒たちは避難中の幼稚園から逃げてきた幼児たちに会い、小学生の手を引いたり、幼児が乗るベビーカーを押したりして無事避難することができました。
釜石の奇跡についてもっと知りたい方へ
釜石の奇跡のアニメ・DVD
釜石の奇跡を多くの人に知ってもらうためにHNKがアニメやドキュメンタリーを放映したり、DVDが発売されたりしています。
是非、教育現場や企業の危機管理などに携わっている方はご確認ください。もちろん、家族や身近な方と一緒に防災への意識を高めることができるきっかけにもなるので、皆さんにおすすめのものです。
釜石の奇跡の本
このような「釜石の奇跡」を通じてどのような防災教育が効果的なのかが本になって発売されています。その本のタイトルが
「釜石の奇跡 どんな防災教育が子どもの“いのち”を救えるのか? 」
です。
「釜石の奇跡」を生んだ背景にあった震災が起こる前から取り組んでいた防災教育や企業が取り組む危機管理術などが含まれています。
一見すると、こちらの本は教育関係者や企業のトップ層など誰かを守る方向けと書かれたもの思われがちですが、自身の防災意識を高めるためや実際の災害の現状を知るためにもお役に立つ良書です。
釜石の奇跡に関しての記事
まずは、釜石の奇跡の概要をもう少し知りたい!という方は下記の記事をご覧ください。釜石の奇跡に付随して政府や自治体などのトップダウンで作成されたハザードマップや津波対策用の建物などのハードは信じるな!といった内容が書いてあるものもあるので、是非ご確認ください。
まとめ
こちらの記事を一読し、釜石の奇跡について少しでも理解を深めていただけたら嬉しいです。海岸沿いに住んでいない方も海など海岸沿いに行くタイミングは絶対にあります。
海にレジャーに訪れた時にたまたま津波が起こる可能性は当然「0」ではありません。この記事で学んだ「津波てんでんこ」などを忘れずに、突然の災害に対応できる人になりましょう。