空気というのは本来電気を通さない絶縁体であり、そこに放電される雷はかなりの高電圧をしています。その雷が原因で、家電が故障してしまうことがあります。 雷サージ、と呼ばれる現象をご存じでしょうか。家電の故障だけでなく、場合によっては火事にまで発展することがあるとても危険な現象です。ここでは、その雷サージについて解説していきます。
雷サージとは?
雷サージには、大きく分けて「直撃雷サージ」と「誘導雷サージ」という2つの種類があります。どちらも落ちた雷が電線をつたって家の中に入ってしまう現象で、瞬間的に高い電圧がかかることで家電故障してしまうことがあります。 例え電源を切っていてもケーブルをつたって、家電の中が焼き切れたりPCのデータが破損したりしてしまいます。最悪の場合、家電の発火によって火災が発生することまで。非常に危険な現象ですので、普段から注意しておくに越したことはありません。
直撃雷サージ
直接雷サージは、その名の通り落ちた雷が直撃することによって引き起こされる雷サージです。落ちる先は建物やその避雷針、テレビのアンテナなどです。 特に電柱や電線に落ちた場合は、それをつたって広範囲への雷サージが引き起こされる可能性があります。家に直接雷が落ちなくとも、家に繋がっている電線に雷が落ちれば直接雷サージが発生してしまうのです。
誘導雷サージ
雷が地面や木に落ちると、誘導雷サージが発生することがあります。これは地面などに落ちた雷から高い電圧が放たれることで、近くの電線などにまで高電圧が発生してしまうことによって引き起こされる雷サージです。 電線に高電圧が生まれれば、かなりの広範囲で雷サージが発生してしまいます。また落雷がなくとも雷雲と大気よる高い電圧から発生する雷サージも、誘導雷サージと呼ばれます。
サージとノイズの違い
サージと似た現象に「ノイズ」というものがあります。雷で発生する高電圧・単発的な異常過電圧はサージです。
サージとは?
そもそも雷サージの「サージ」とは何でしょうか。これは電気系統などに対する、異常な過電圧のことを指します。 ノイズとは違い、高電圧で瞬間的なのが特徴です。雷だけではなく電源の入り切りなどによって発生することもありますが、原因の多くは雷です。サージと表記されている場合、雷サージの略称であることも多いです。
ノイズとは?
サージと似た現象である、「ノイズ」もまた、電気系統に対する過電圧のことを指します。しかしこちらは比較的、高周波で電圧は低めです。 こちらの原因の多くは、他の機器から漏れた電磁波を機器が拾ってしまうことです。サージと違い、雷によって引き起こされる物ではありません。航空機で携帯などの使用を制限されるのは、このノイズを予防するためなのです。
雷サージが起こるとどうなるのか?
雷サージが起こると、瞬間的に異常に高い電圧が家電などの中に走ります。結果として、家電の中が焼き切れて故障してしまいます。
家電機器や通信機器が故障する可能性がある
どうして高電圧が走ると、家電などは故障してしまうのでしょうか。そもそも電圧というのは、水圧と似たものです。 もしも急激に水圧が高まれば、水道管などが破裂してしまうことは想像できるかと思います。それと同じで、家電の中に異常な高電圧が走ると回路などが耐えきれずに焼けてしまうのです。 一般家庭用の電圧は100Vですが、雷の電圧は1億V。およそ100万倍です。完全に故障せずとも、PCなどの精密機器はデータが破損する恐れがあります。
電源に繋いでいないスマホも危ない?
「雷の最中にスマホは触るな」、と言われたことはないでしょうか。雷サージは電線やケーブルをつたって電化製品を故障させますが、更にその先に人間がいた場合はそこまで高電圧が流れてしまう可能性があります。 雷が鳴っている時は、充電しながらスマホを使うことはやめておいた方が良いでしょう。約1億V、高ければ10億Vにまで達することがあるという雷の電圧を人間が浴びれば、死に至る可能性は決して低くありません。
雷サージの対策方法
雷サージを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。実は、雷サージ対策用のアイテムがいくつか発売されています。それらを上手く使い、雷サージの対策をしておきましょう。
配線を見直す
雷サージ対策で一番確実なのは、全てのコンセントを抜いてしまうことです。しかし、現代においてはあまり現実的な方法ではありません。 数も多いし、外出中のことだってあるでしょう。一番手軽で現実的な対策法は、雷サージ対策電源タップの使用です。 これは高電圧を察知すると自ら素子を破壊し、機器にまで電流が流れないようにして身代わりになってくれアイテムです。一回きりの使い切りではありますが、家電とコンセントの間に設置するだけなのでお手軽に対策ができます。
分電盤を設置する
少々お高くはなりますが、分電盤を雷サージ対策の物にするという方法もあります。分電盤とは、簡単に言えばブレーカーの収まっているあの箱です。ブレーカーはスイッチ、分電盤は既定の電流を超過した際に電気を遮断する器具です。 雷の時にブレーカーが落ちるのは、過電圧から家電を守るためなのです。この分電盤には、雷サージ対策に避雷器が付属した物があります。また、古いお宅ですと分電盤がないところもあります。その場合は、分電盤の設置工事をおすすめします。
火災保険の加入や見直しをする
しっかりと雷サージ対策をしていれば、誘導雷サージはほとんど無効化することができます。しかし、直接雷サージによる超高電圧はどうしても防ぐことが出来ません。 そのため、火災保険に入っておくのも一種の雷サージ対策と言えます。火災が起こった時のためというのももちろんですが、それより大きな理由があります。 雷サージによる家電の故障は、火災保険による補償の対象になっているからです。雷サージが心配な方は、一度火災保険を見直してみてはいかがでしょうか。
pc(パソコン)のデータをバックアップする
PCなどの精密機器は、雷サージによって故障せずともデータが破損してしまう危険性があります。そのために、大切なデータはバックアップをしておくことが重要です。 外付けのHDDにバックアップを取っておくのが手っ取り早いですが、ずっとPCに接続するHDDですと雷サージでPCと一緒に壊れかねません。 そこで、持ち運びのできるポータブルHDDにデータを保存しておくのがおすすめです。また、常に電源に接続しておく必要のないノートPCを使用したり、クラウドにデータを保存したりするのもおすすめです。
雷サージを対策できる商品
雷サージ対策には、電源タップや分電盤の他に避雷器を使用するのも手です。避雷器はSDPとも呼ばれます。
SPDが付いている電源コードを使用する
避雷器(SDP)も、雷サージ対策に有用です。文字だけ見ると、避雷針と何が違うのかがいまいち分からないかと思います。避雷針とは主に屋根に取り付ける、大まかに言えば雷を自らに誘導して他の建物や人を守るための物です。 一方で避雷器は主に電柱などに取り付けられる、過剰な電圧を分散させるための物です。この避雷器によって、雷による過電圧が建物内に侵入することなく家電などを雷サージから守ることができます。
電源タップ(電源コード)
雷サージ対策としては、手軽で安価な雷サージ対策電源タップが一番おすすめです。先程も紹介した通り、コンセントと家電の間に設置するだけで簡単に対策ができるためです。雷サージだけでなく、タコ足配線による火災を防ぐこともできます。 値段はおよそ1000~3000円で、分電盤などの工事に比べれば圧倒的に安値です。雷サージ対策電源タップは一般的な家電量販店で販売されているので、ぜひお近くのお店で購入してみてください。Amazonや楽天などのネットショップでの購入も可能です。
まとめ
ここまで、雷サージやその対策についてご紹介させて頂きました。雷の発生は、多いところで年間40日を超えます。雷サージは決してレアな現象ではないため、日常的な対策は必須です。 しかし何よりも一番大切なのは、ご自身の身を守ることです。雷が鳴っている時は、決してコードの繋がった電子機器に触れないようにしましょう。さて、ここまでお読みいただいてありがとうございました。